告白

作者:湊かなえ双葉社

  • あらすじ

ある中学校の終業式。担任の女性教師が辞職することを生徒たちに告げる。
退職する理由は、愛娘をクラスの生徒に殺害されたからだった。
最後のあいさつで、殺害した犯人を名指しし、強烈な復讐を課す。
殺人を犯した生徒2人には、証拠もなかったが、クラスには波紋が広がる。
学年が変わり、新しい担任が赴任するが、犯人の一人は不登校になる。
もう一人の犯人は、学校には出てくるが、強烈なイジメを受ける。
崩壊する家族、さらなる殺害事件も発生し、救いようのない結末に向かう。

  • 感想

この小説は6章から成っているが、すべては関係者のモノローグで進む。
第1章の女性教師の告白が、驚愕の導火線となっていて、引き込まれた。
その後は、同級生の女子や、殺人を犯した少年の母、当事者の少年二人の告白。
最後にまた、女性教師の告白に戻り、物語は終了するが、この構成は見事だ。
被害者も加害者も一貫して、冷めた視点でいるのが、かえってスリルを加速させる。
現代の子供社会に巣くう病理と、無力な大人たちを風刺しているのも良かった。
神保町の三省堂で平積みになっていた本で、店員のポップに興味をひかれたので購入。
この店と、大阪の本町の紀伊国屋の店員のポップは自分にとって信用ができる。
でも、最近は本の帯にまで、本屋の店員の感想が印刷されるのは行き過ぎだと思う。
その点だけ、この本には不満が残ったが、内容に関しては抜群だった。面白い!

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