誘拐児

作者:翔田寛講談社
第54回江戸川乱歩賞受賞作。
‐あらすじ
終戦の翌年に発生した誘拐事件。犯人は有楽町の闇市を身代金の受け渡し場所に指定する。
だが、同時に起きた闇市取締りの混乱で、警察は身代金を奪われ、誘拐された子供も行方不明となる。
それから15年後の昭和36年。一人の女性が殺害され、自宅から過去の誘拐事件の手がかりが見つかる。
そのころ、母を末期がんで亡くした良雄は、「あなたは誘拐された子供だった」という告白を受ける。
捜査担当の刑事の輪島と神崎は犬猿の仲で、別々のアプローチで捜査を進める。
良雄と恋人の幸子は、自分の出生の謎を探るため、亡くなった母の足跡をたどる。
かつての誘拐児が良雄であった可能性が高まるが、誘拐犯の姿は中々見えてこない。

  • 感想

終戦直後の出だしのシーンはかなり期待できるものがあった。
また真相が見えそうになると、覆されるのは正統派ミステリーのテイストは十分だった。
でも後半になるにつれ、だんだんと面白さが薄れていった。
一言で言うと「尻すぼみ」という感想を持ってしまったが、内容は悪くない。
ただ、江戸川乱歩賞という看板がなければ読まなかっただろうな。

誘拐児

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