隣の怪 蔵の中

作者:木原浩勝メディアファクトリー
新耳袋」の片割れの怪談短編集の2作目で、15編の怪談が収録されている。
新耳袋」は一つの話が短く、2ページくらいで終わるものが大半だった。
それでも面白い話が多く、怪談の新しいスタンダードを確立した作品群だった。
で、今はソロで作品を出しており、木原の2作目は、オーソドックスな怪談集。
コンビニの防犯ビデオに映った老人の幽霊を描いた「折れた傘」
引っ越した中古の住宅で怪異を目撃し、家族に不幸が襲う「凶宅」
隣家の女性の焼身自殺を目撃した直後から、黒い幽霊が付きまとう「団地」
新しくオープンした居酒屋で3つの幽霊が見える「四人目」
夜になると騒がしくなる蔵の中に封印してあるモノの因縁を描いた「蔵の中」
怪談としてはどの話も非常によくできている。でも何かが欠けている。
ところどころ作り物のような部分が見えてくるし、怖がらせてやろうと力が入っている。
新耳袋」の淡々とした乾いた独特の恐怖をいつまでも求めるわけではないが、少し残念。
一方、相方だった中山市朗は「なまなりさん」という非常によくできた怪談を出している。
読み比べるのも面白いが、差が付いてくるような気がする。

隣之怪 蔵の中 (幽BOOKS)

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