TENGU

作者:柴田哲孝祥伝社文庫
昭和49年に群馬の寒村で起きた一家虐殺事件。死体は素手で破壊されていた。
ベトナムから撤退してきた米軍の関与が疑われるが、事件は迷宮入りする。
村人達は天狗の仕業だと噂しあい、実際に巨大な犯人の目撃情報があった。
当時、駆け出しの記者だった道平は、末期がんの監察係の大貫と再開し、事件を調べ始める。
殺人現場で、道平は殺人犯とニアミスしており、体毛を入手していた。
その体毛をDNA鑑定にかけると、人間でもなく、猿でもない結果が出た。
事件発生の前に基地を脱走し、事件現場の近くで身柄を確保された米兵は、除隊後自殺を遂げていた。
道平は事件のあった村で出会った彩恵子と言う盲目の女性が忘れられなかった。
彩恵子は非常に不幸な生い立ちで、村の男性達の慰め者となっていた。
事件の直後に、米兵と共に姿を消した彩恵子を追うことにした道平は、特集記事の連載を始める。
閉鎖的な村で起きた惨劇と、因習に縛られた不幸な女性。
一転してベトナム戦争による枯葉作戦、ビッグフットやアイスマンなどのUMA
ミステリの要素が贅沢にちりばめられた第9回大藪春彦賞受賞作。
面白かったが、なぜか散漫な印象が残った。また主人公の道平にあまり魅力を感じなかったのが残念。

Tengu―長編推理小説 (祥伝社文庫 し 8-4)

Tengu―長編推理小説 (祥伝社文庫 し 8-4)