獄窓記

作者:山本譲司|文春文庫
秘書給与詐欺事件で、逮捕され、実刑判決を受けた元民主党の議員が自ら綴ったドキュメント。
議員辞職し、予想もしなかった実刑判決から、刑務所に送られ、1年以上に及ぶ懲役生活が赤裸々に描かれている。
発覚当時、まさか実刑判決はないだろうという周りは見ていたが、判決を受けた筆者は控訴をせず、入獄する。
自らの罪を悔い、早く罪を償うためだった。しかし、刑務所に入った瞬間にその決意は揺らぐ。
まず、府中刑務所に収容され、その後、栃木の黒羽刑務所に移送され、釈放されるまで1年間を過ごす。
そこで筆者は、障害を持った囚人たちの世話をする仕事を命じられる。
糞尿やゲロなどの汚物の処理を送る日々など、刑務所の驚きの実態がかなり詳しく紹介され、読み応えがあった。
社民党辻元清美が、同じ罪に問われたときに、筆者を引き合いにして保身に走ろうとし、憤激するところも面白い。
読みにくく、理解しづらい熟語が頻繁にでてくるが、刑務所という一般の人が経験しない世界を知ることができる。
新潮ドキュメント賞受賞作。

獄窓記 (新潮文庫)

獄窓記 (新潮文庫)