死神の精度

作者:伊坂幸太郎|文春文庫
1週間後に死を迎えることになっている人たちに、千葉と名乗る死神がアプローチする話。
千葉は対象となった人を調査し、「死」を「可」とするかどうか当局に報告する。
「可」と判断された人は8日後に死亡する。死神千葉が出会う6人の人を描いた連作集。
冴えないオペレータの女性。曲がったことが嫌いなヤクザ。おかしな眼鏡をかけるブティックの店員。
雪の山荘に閉じ込められた人たち。渋谷でいきなり人を刺し殺した男。海辺の美容院を経営する老婆。
様々な状況や多様な環境にいる人の前に千葉は突然現れ、対象者とすぐに親しくなる。
ただ、千葉は対象者に感情を持つことはなく、淡々と「死」を「可」と処理をしていく。
千葉が現れる場所には必ず、雨が降り続ける。
また千葉をはじめとする死神たちは音楽好きで、暇さえあればCDショップで視聴盤を聞いている。
味覚はなく、眠ることもない。素手で人をさわると相手の寿命が1年縮む。
知識に偏りがあるため、ずれた会話をして、相手に不信感を与えるが、不快感は与えない。


この人の作品はデビュー作の「オーデュポンの祈り」と次作の「ラッシュライフ」が断然面白かった。
その後の作品も読んだけど、だんだんイマイチになってきて、最近の作品は読まなくなった。
久々に読むと、なかなか面白かった。クールな会話と軽妙な文体に磨きがかかっている。
でも「ラッシュライフ」には及ばない。

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)