砂の花

作者:明野照葉祥伝社文庫
38歳の美砂は人生に倦み、離婚をし、大手化粧品会社を退職した。
東京の波頭に立ち、10ヶ月後に自殺することを決意する。
預金の3千万円を遣いきり、周りの人たちに綺麗な印象を残して、決別するのだ。
そんな美砂の前に、自分と同じく人生に倦んだ檜山という男が現れる。
檜山は妻子を交通事故で亡くしており、似た者同士で穏やかな時間を過ごす。
同時期に、過剰なまでに生の輝きを放つ左京という男と知り合う。
左京と肉体をあわせ、快楽に溺れるが、人生の幕引きだけはきっちりと決めるはずだった。
だが、左京という男の悪魔のような部分を目の当たりにし、彼と別れることにする。
左京は美砂との痴態を映像に収めており、5千万円を要求する。
死ぬ前に左京から映像を取り戻すことを決意した美砂は、だんだんと生への渇望を取り戻していく。
女性を主役にしたサスペンスは非常に上手い作家で、もう少しメジャーになってもおかしくない。
この作品は今まで読んだものに比べると少し印象が弱いが、それでも面白い。

砂の花 (祥伝社文庫)

砂の花 (祥伝社文庫)