暗礁(上・下)

作者:黒川博行幻冬舎文庫
大阪のイケイケヤクザ桑原保彦と彼に振り回される堅気の二宮の活躍を描いたノワール小説。
桑原に命じられるまま、賭け麻雀に駆り出された二宮は、イカサマで200万円を稼ぐ。
だが、相手は奈良県警の刑事と大手運送会社の社員で、真相は接待麻雀だった。
桑原は警察の汚職と利権に絡む裏金を嗅ぎ付け、二宮と共に暗躍を始める。
その大手運送会社は警察と暴力団の草刈場となっており、桑原は悪知恵を働かせる。
麻雀で稼ぎ、桑原の命じられるまま運送会社を調査した二宮だは、ヤクザの標的となってしまう。
やがて運送会社が何者かに放火され、渦中の刑事は焼身自殺してしまう。
裏金をせしめようとする桑原は、二宮を連れ、もう1人の汚職警官のいる沖縄に飛ぶ。
現地のヤクザと激しくやりあい、警官から裏金の証拠をつかんだ桑原たちは、黒幕に迫る。
桑原と二宮の漫才のようなやり取りと、テンポのいいストーリー展開で一気に読んだ。
「疫病神」「国境」に続く第3弾だが、本作は少しほろ苦い結末となっている。
桑原は卑怯で、金に汚く、最低のヤクザだが、喧嘩が強く、すでにキャラが立っている。
大阪以外の人が桑原にどんな印象を持つかわからないけど、4作目を期待。