愛こそすべて、と愚か者は言った

chiyodaku2007-09-09

作者:沢木冬吾|角川文庫
調査事務所を経営する久瀬の元に、別れた妻から「息子が誘拐された」と電話がかかってくる。
犯人は久瀬を身代金の受け渡しとして、指名する。
久瀬は現場に向かい、誘拐グループのトラブルに乗じて、息子を救い出す。
だが、犯人が捕まる前に、別れた妻は失踪してしまう。
息子の慶太と共同生活を始め、久瀬は妻の行方を追う。
久瀬の住む海斗市は、朋園英一郎が支配する街で、かつて久瀬は朋園の抗争を妨害したことがあった。
久瀬はその後、三上という男から、右足に何発も銃弾を打ち込まれるという報復を受ける。
事件の指揮を執った小野寺は久瀬を疑いながらも、いつしか久瀬に協力するようになる。
ハードボイルドな作品だが、少し長すぎ、主人公の人物描写がイマイチ。
といっても、デビュー作でこれだけの内容を書く技量があるので、今後の作品に期待。
「償いの椅子」ほど、面白くはなかったが。