ソロモンの犬

作者:道尾秀介文藝春秋
自転車便のバイトをしながら大学に通う秋内は、親友達の中に殺人者がいるのではと疑っていた。
発端は、助教授の鏡子の息子が飼い犬を追いかけて車にはねられて死んだことだった。
そのそばにいた友人達の行動に怪しい点を見つけ、秋内は密かに友人の3人を調べ始める。
親友の京也はイケメンで、四国で会社を経営する社長の後継ぎだが、親との折り合いが悪く、何か秘密を抱えている。
それから、京也の彼女のひろ子と、ひろ子の友人で、秋内が片思いしている智佳の行動も怪しい。
秋内は、近くの下宿に大勢の動物と暮らす教員の間宮に相談をする。
友人を疑いたくない秋内だが、鏡子が自殺したことで、友人の中に殺人者がいることを確信する。
だが、犯人は秋内の自転車に細工をし、物語の終盤で、秋内は命を落としてしまう。
うじうじと悩む内向的な男が、探偵役となる異色のミステリー。
秋内、京也、ひろ子、智佳の描き方は直球の青春ストーリーだが、最後にどんでん返しがある。
間宮の動物の薀蓄話が面白く、不思議な魅力にあふれた作品だった。

ソロモンの犬

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