フォックス・ストーン

作者:笹本稜平|文春文庫
海外での傭兵経験のある桧垣は、日本での事業に失敗し、くすぶった生活を送っていた。
そんな時、かつての傭兵仲間で、ジャズピアニストのダグが東京滞在中に薬物中毒で死亡する。
ダグの死に不信感を持った桧垣は、フリージャーナリストの芦名と渡米し、調査を始める。
ダグは生前、アフリカの小国に頻繁に出入しており、何らかの陰謀に巻き込まれた疑いが強まる。
ダグの母親から、彼の家族の悲惨な経験を聞くが、母親も何者かに殺害されてしまう。
桧垣の周辺にも怪しげな人物がうろつき始め、素行不良で除隊した元傭兵と戦うことになる。
ダグにはアフリカでの小民族虐殺の汚名が着せられそうになっていたが、戦友を信じる桧垣はアフリカへ渡る。
ダイヤモンドの原石を巡る国際的な詐欺事件を絡めた、スケールの大きな国際謀略小説。
誰も見向きもしないアフリカでのジェノサイドの悲惨な描写は迫力がある。
面白いが、笹本稜平にしてはイマイチだな。それは、主人公の桧垣の強さが伝わってこないからだ。
この作品が最初ならば、おそらく笹本の他の作品は読むことはなかっただろう。
初めてのハズレだな、これは。

フォックス・ストーン (文春文庫)

フォックス・ストーン (文春文庫)