グランド・フィナーレ

作者:阿部和重講談社文庫
主人公は重度のロリコンで、娘や他の女の子の写真を大量にハードディスクに残していた。
それを妻に見つかり、逆上した彼は暴行を加えた結果、DV夫の汚名を着せられ、離婚に至る。
彼は娘のことが忘れられず、友人を介して、娘の接触を図るが、失敗し、飲み仲間に罵声を浴びせられる。
傷ついた彼は、娘に未練を残したまま、故郷に戻り、実家でニートのような生活を送る。
そんな主人公の元に、「自分達の別れの舞台を作って欲しい」と、小学生の少女が二人現れる。
中学進学を前に、一方の少女が遠くに引っ越すので、思い出をつくりたいという理由だった。
主人公はロリコンの虫がうずきつつ、二人の舞台に協力することになった。
だが、演劇の前に二人は姿を消してしまう。ロリコンには嫌悪を覚えるが、流れるような文章がいい。
ちなみに少女の片方は、この作家の作品「ニッポニアニッポン」の妄想に駆られた主人公の妹だ。
第132回芥川賞受賞作品だが、結末が訳がわからず、そんなに面白いとは思わなかった。
芥川賞作品って、書き手の技巧を評価する向きがあるが、それ以前に小説って内容が面白くないとダメだろう?

グランド・フィナーレ (講談社文庫)

グランド・フィナーレ (講談社文庫)