怖い本7

作者:平山夢明|ハルキ・ホラー文庫
サイコパスや犯罪者に巻き込まれるホラーが得意とする作者による正統派怪異譚の7作目。
表紙は今までのシリーズの中で最も気持ちが悪い。でも、こんな顔をした女性って周りにいるような気がする。
「東京伝説」をはじめとするサイコ系がとても面白いのだが、こちらも悪くない。
水死体がたどり着く浜辺で海水浴をしていた家族に怪異が襲う「浜」
丑の刻参りにいたずらした高校生が恐ろしいモノを見てしまう「ぐちゃぐちゃの木」
自宅前で子供が交通事故死し、そのことが気に入らない男が狂気に落ちていく「残り水」
これは、何となく福澤徹三の怪談の文体に似ていて、印象に残った。
真夜中のトイレの怪異を描いた「貼り紙」はわずか1ページの掌編だが、ひねりが効いており、上手いと思った。
病院の廃墟に肝試しに行く「割れ目」は定番のシチュエーションだが、そこで見たものはかなり恐ろしい。
この作者は最近、量産体制に入っているようだが、今のままのクオリティを保ち続けることができるのか心配になる。
同時期に「怖い人」と「超怖い話」もリリースしているので、こちらも読んでみよう。

怖い本 7 (ハルキ・ホラー文庫 ひ 1-12)

怖い本 7 (ハルキ・ホラー文庫 ひ 1-12)