午前零時
新潮社
13人の作家が24時に起きた不思議をテーマに描いた連作集。
鈴木光司、坂東眞砂子、朱川湊人、恩田陸、貫井徳朗、高野和明、岩井志麻子、
近藤史恵、馳星周、浅暮三文、桜庭一樹、仁木英之、石田衣良と、結構よく読む作家の作品が収録されている。
だが、最初の方は面白くなかった。鈴木光司、坂東眞砂子、恩田陸の作品は期待はずれ。
岩井志麻子と桜庭一樹と石田衣良の作品も何が言いたいのか良くわからない作品だった。
朱川湊人の「夜、飛ぶもの」は30年前の深夜に空飛ぶ恐竜を目撃する話。
貫井徳朗の「分相応」は美しい妻を得た男が、浮気を企てようとする話。
高野和明の「ゼロ」は記憶が失った男がタイムマシンで過去に戻ろうとする話。
この3人はらしさが出た短編で、面白かった。
近藤史恵の「箱の部屋」は仕事も恋も失った女性が部屋に閉じこもり、堕落した生活を送る話。
浅暮三文の「悪魔の背中」は手ひどい裏切りをされた女性に復讐するため、悪魔を召還する話。
仁木英之の「ラッキーストリング」はインドで不思議な神に出会う怪談。
で、一番面白かったのが馳星周の「午前零時のサラ」だった。
若い彼女に振られた中年の写真家が老犬と過ごす日々を描いた感動的な話だった。
あまり好きな作家ではないが、こんな話も書けるのかと意外に思った。
初読の作家では近藤史恵と仁木英之は他の作品も読もうと思う。
[rakuten:book:12083170:detail]