虐殺器官

作者：伊藤計劃｜ハヤカワ書房
9.11後のテロが激化する近世界を描いたSF小説。
アメリカをはじめとする先進資本主義国は徹底的に個人情報を管理する国となっていた。
一方、サラエボはテロによる手製爆弾で消滅し、後進国は指導者による民族虐殺が激化していた。
9.11後のアメリカは、戦争を民間会社に任せ、情報収集のもと、敵国の指導者の暗殺に主眼を置いていた。
情報軍に所属するシェパード大尉は、虐殺の糸を引く、ジョン・ポールというアメリカ人の暗殺を命じられる。
言語学者のジョン・ポールは言葉を駆使し、虐殺を引き起こす装置を作り上げていた。
チェコ、インド、ソマリアとジョン・ポールを追い続けるシェパードは多くの仲間を失う。
最後にジョン・ポールを追い詰めたシェパードは、驚くべき計画を打ち明けられる。
SF小説にはあまり食指を動かされないが、タイトルに惹かれて読んでみたが、それなりに面白かった。
ただ、世界的なスケールで描いた作品なのに、登場人物が内省的で、舞台が狭く感じたのが残念。
表現力はあるので、おかしなペンネームを改めたほうがいいと思う。
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