笑う警官

作者:佐々木譲|ハルキ文庫
札幌市内のマンションで、女性の変死体が発見される。
被害者は北海道警察の巡査だった。道警本部は初期段階から、交際相手の巡査部長の津久井を容疑者として射殺命令を出す。
捜査から外された佐伯警部補は、かつて津久井とおとり捜査で組んだことがあった。
津久井の無実を信じる佐伯は、道警の有志を集め、独自に調査を開始する。
津久井を確保した佐伯だが、翌日の道議会で、裏金を暴露する予定だった。
道警の腐敗を暴こうとする津久井を、本部は口封じのため殺そうとしていた。
不正を正そうとする佐伯は、被害者の女性巡査の交友関係を調べるが、意外な人物に突き当たる。
一方、佐伯のチームの中にも、津久井が身内の不祥事を証言することに抵抗感を持つ人物も現れる。
佐伯たちの行動を本部に漏らすスパイがいることを承知しながら、佐伯は真犯人を突き止め、津久井を道議会に送り込む。
5年ほど前に、北海道の警察でおきた不祥事を題材にしているのだろうな。
警官同士の騙しあいが新鮮で、16時間を400ページにわたって描いているが、退屈しない濃密なサスペンス。
スカッとしないところがマイナスだが、重苦しいのが返って面白かった。

笑う警官 (ハルキ文庫)

笑う警官 (ハルキ文庫)