パライゾの寺

作者:坂東真砂子文藝春秋
作者の出身の高知を舞台にした短編集で、幕末から現代までの7つの物語が収録されている。
「まんなおし」は船宿の新妻が些細なことで、離縁され、放火をする話。
「残り香」は盲目の按摩が農家の女性二人に誘惑される話。
「パライゾの寺」は流刑でやってきたキリシタンの男に惹かれる遊女の話。
「虫の声」は自由民権運動の夢破れた男女が村人を次々に殺害する話。
「六部さま」は関東大震災直前の東京でカフェーの女給と同棲する土佐出身の男の話。
「朱の棺」は太平洋戦争で戦死した息子が村の中で軍神に祀り上げられ、戸惑う母の話。
「お接待」は山深い炭焼き小屋に住む夫婦から歓待を受ける民俗学者崩れの男の話。
いずれの話も土地に縛られた女性たちが描かれ、中心にはセックスがある。
消えつつあるムラ社会の濃厚な香りと、郷愁を感じさせるので、この作家の作品は良いと思う。
仕事で四国の色んなところに行ったが、高知は酒も魚も美味いし、イイ人が多かったので好感を持っている。
ただ、酒の好きな人が多く、女性もかなり飲むのには驚いた。
景色も綺麗だし、また行ってみたいと思う。

パライゾの寺

パライゾの寺