冒険の日々

作者:熊谷達也小学館文庫
昭和40年代の東北地方の小学生達の冒険を描いた連作集。
テレビが家に普及し始めたころだが、子供達の遊び場は外だった。
科学万能の時代に移りつつある時代に、まだまだ河童や天狗の存在をどこかで信じていた。
私、稔、巌夫の3人はいつも一緒に遊び、冒険をしていた。未来のことは考えず、今を精一杯生きていた。
廃坑や不審な家に忍び込む、そんなわくわくした宝石のような日々を振り返る作品。
現代に戻ったラストシーンで、30年前に埋めたタイムカプセルを掘り起こす。
だが、一人が欠けている状況は悲しい。時は楽しかった少年時代を簡単に忘れてしまうほど残酷だ。
「トム・ソーヤーの冒険」とか「スタンド・バイ・ミー」を連想させる良作。

冒険の日々 (小学館文庫)

冒険の日々 (小学館文庫)