少女達がいた街

作者:柴田よしき|角川文庫
70年代に渋谷で青春時代を送る少女達の物語から、90年代に過去の謎を追う刑事の話の2部構成。
1975年渋谷。16歳のノンノはロック喫茶に入り浸り、あだ名しか知らない友人達と行動する日々を送っていた。
バンドで成功することを夢見るチアキや、女優の息子で、女たらしのカズ。
ノンノは大学院生の彼氏の北浦と、ディープパープルのコンサートに行くことを楽しみにしていた。
そんなノンノの前に、自分にそっくりの少女ナッキーが現れ、すっかり意気投合する。
ノンノの家は裕福で、ナッキーが自分の店を持ちたいという夢をかなえたいと思い始める。
だが、北浦が爆破事故に巻き込まれて死亡し、ノンノの人生は暗転する。
クスリに手を出し、バッドトリップしたまま、自宅が燃えるところで、第一部は終わる。
その後、ノンノの家の焼け跡から、男女二人の死体と菜月という少女が大火傷で発見された。
第二部はそれから20年後、すでに時効になったこの事件を追う刑事陣内の視点から描かれる。
菜月は記憶喪失になっており、チアキはドラマーとしてイギリスで成功していた。
それから、今頃になって北浦が実は生きていたという噂も出てくる。
陣内は過去の関係者に会い、男女二人の死体が誰なのかという謎を追い、菜月は誰かと入れ替わっていると確信する。
実は陣内も第一部の登場人物であったことが、結末近くで明かされるのには驚かされる。
青春小説から一転、ミステリーになるが、両方のジャンルを上手くミックスして、面白かった。
この作家の「聖なる黒夜」も面白かったが、ホモがサカるシーンに嫌悪感があった。
でも、この小説を読んで、他の作品も読もうと思った。

少女達がいた街 (角川文庫)

少女達がいた街 (角川文庫)