太陽がイッパイいっぱい

作者:三羽省吾|文春文庫
三流私大に籍をおくイズミは、解体業のアルバイトに精を出す日々を送っていた。
大学を出て、就職をするより、汗をかき、身体を動かした後の酒が一番だと思う。
大学から足が遠のき、京阪沿線のアパートから、「マルショウ解体」に通う。
同年代の巨漢マッチョ坊主のカンや美青年のクドウと働き、毎日のように京阪の高架下で酒を飲む。
行きつけの大衆食堂の娘のメロンちゃんと付き合い、阪急東通や京橋でデートする。
だが、「マルショウ解体」の財政は逼迫していて、仕事にあぶれる人が出てくる。
野球チームの「マルショウスパイダーズ」も勝てない。
遅刻を咎められたカンは、心斎橋で暴力沙汰を起こし、不良少年達のターゲットとなる。
カンを救うため、ミナミを駆け回るイズミとクドウ。
いつまでも続くと思う日常を少し感傷的に、上手く描いていて、面白かった。
大阪の下町が舞台なのも、自分のツボにはまったし、うどんすきを腹一杯食べたくなった。

太陽がイッパイいっぱい (文春文庫)

太陽がイッパイいっぱい (文春文庫)