雷の季節の終わりに

作者:恒川光太郎角川書店
デビュー作の「夜市」の幻想的な雰囲気を引き継いだ2作目。
少年の賢也は浮世から離れた「穏」という土地で暮らしていた。
「穏」は春夏秋冬以外に「雷季」という季節があり、風と雷が荒れ狂う。
その季節に行方不明になる人が発生する。
賢也は、姉が行方不明になった「雷季」に「風わいわい」という物の怪に取り憑かれる。
「穏」で忌み嫌われる「風わいわい憑き」を隠しながら、生活を送っていた。
穂高という少女や「闇番」の大渡さんと仲良くなる賢也。
幻想的な美しい景色や、妖しい夜の「墓町」での死者とのやり取りが綴られる。
あるとき、穂高の兄のナギヒサの犯罪に気づいた賢也は、はずみでナギヒサを殺害してしまう。
警察組織の「獅子野」に追われる賢也は「穏」から現世に逃亡しようとする。
一方、現世で暮らす茜は継母から虐待を受けた挙句、「穏」の鬼衆に誘拐される。
「穏」と現世の境で出会う賢也と茜と伝説の鬼衆の「トバムネキ」
この世に存在しない景色の描写と表現はかなり上手いと思う。
朱川湊人に似ていると思ったが、人物造詣は少し伊坂幸太郎のテイストも入っている。
結末があっけなくて、そこは納得がいかず、不満だが、次の作品も読みたい。
言葉の使い方と表現力は自分のツボにはまった。

雷の季節の終わりに

雷の季節の終わりに