百万遍 青の時代(上・下)

作者:花村萬月新潮文庫
作者の自伝的小説。
1970年。三島由紀夫が自殺した日に高校を退学になり、教護院から放逐された維朔。
15歳の維朔は、かつての教護院の仲間の山川のアパートに転がり込む。
だが、バイクを盗み、暴力事件を起こし、山川の元を逃走する。
その後、小学校の同級生だった在日朝鮮人の幸子と同棲を始める。
満たされた日々を送る維朔だが、物足りなさを感じ、幸子の預金を奪って、遁走。
登戸のヤクザたちと付き合い始め、覚醒剤に溺れる。
破滅を感じた維朔は牛乳配達所に住み込むが、ヤクザとの付き合いは切れない。
力太郎と呼ばれるヤクザと意気投合し、彼の仲間を紹介され、付き合うようになる。
力太郎は維朔の目の前で、会社員を殴り殺し、維朔は組長の妻と肉体関係を持つ。
刹那的で暴力的な描写と、維朔の繊細な感受性を上手く描き、長編だが飽きずに読めた。
京都の百万遍は出てこないが、続編は京都が舞台になるのだろう。

百万遍 青の時代〈上〉 (新潮文庫)

百万遍 青の時代〈上〉 (新潮文庫)