水底から君を呼ぶ

作者:大石圭光文社文庫
真夜中のプールに忍び込んだ、4人の女性の一人が行方不明になる。
その水面には、白い花が残されていた。
その後、ニューカレドニアの海で、2人めの女性が行方不明になる。
女性の夫の卓也は必死の捜索を始める。
一方で、非常に不幸な生い立ちの女性の独白が、間に挟まれる。
これが悲惨な内容で、誰のことを書いているのか、最後までわからない。
卓也にプールの出来事を告白した3人目の女性も失踪する。
苦労して見つけた4人目の女性も、直後に失踪し、卓也の下にメールが届く。
不幸な生い立ちの女性と、4人の女性の接点が明らかになる。
綺麗な南の海の光景と、異様に水を恐れる描写。
救いようのない悲惨な話だが、何故か美しい。これがこの作家の特徴。
当たり外れの多い作家だが、何故か新刊は読んでしまうし、これは良いと思う。
おそらく傑作は書かないだろうけど、今後も読み続けるだろう。

水底から君を呼ぶ (光文社文庫)

水底から君を呼ぶ (光文社文庫)