死日記

作者:桂望実小学館文庫
中3になった田口潤は、日記をつけ始める。
この小説はその日記の記述が主体になっている。
父親は交通事故で亡くなり、母は愛人を自宅に呼び込む。
愛人はすぐに母に暴力を振るうようになるが、潤には何もできない。
潤の生活は省みられなくなり、新聞配達を始める。
家を離れると、親友や担任の先生、配達所の主人などが潤を支える。
彼らの気持ちを感謝しつつ、母親の身を案じる記述が続く。
潤は中学卒業後、パン工場で住み込みで働きながら、定時制高校に行くことを決める。
だが、潤の周りでは不審な出来事が起き、卒業式直後に潤は殺されてしまう。
母を信じつつも、次第に疑いを隠せない日記の内容は一気に読ませる。
あまりにも悲惨な小説で、繕おうとする母の供述には怒りを覚える。
くだらない小説以外に、読み終えて腹が立つのは珍しい。
ベストセラーの「県庁の星」も読もうと思う。

死日記 (小学館文庫)

死日記 (小学館文庫)