天空への回廊

作者:笹本稜平|光文社文庫
先日読んだ「太平洋の薔薇」があまりにも面白かったので、読んでみることにした。
エベレストを舞台にした冒険小説で、登山家の真木が主人公。
冒頭、エベレストの山頂にアメリカの人工衛星が墜落し、雪崩が発生する。
真木は無事だったが、親友のフランス人が雪崩に巻き込まれ、行方不明になる。
真木はアメリカの登山隊と捜索を開始するが、墜落した人工衛星には核兵器があった。
冷戦時代のアメリカの汚点を利用しようとする正体不明のテロリスト達。
ヒマラヤの麓のカトマンズでの暗闘から、舞台はエベレストの山頂へ。
テロリストに仲間を殺された真木は、独りでテロリストに立ち向かう。
左遷されたジャーナリストや、退役軍人のパイロットなど、脇役の人物造形が光る。
ストーリーは十分面白かったが、8000メートルを超える山の上の描写は想像をこえていた。
つまり、過酷な環境でのアクションシーンがわかりにくかった。
オビに書かれていた「ハリウッドで映画化」という絶賛の言葉は頷ける。
これは映像にしたら面白いだろう。でも悪役に魅力が無いのが減点かな。