白骨の語り部

作者:鯨統一郎|C☆NOVELS
デビュー作以来、小説を書けなくなった主人公の六波羅一輝。
出版社の北村みなみと、新しい小説の着想を得るために岩手の遠野に出かける。
遠野を散策しているうちに、道に迷った二人は白骨死体を発見する。
地図に無い猿村という集落にたどり着いた二人だが、地主の娘が行方不明という。
その後、白骨死体は地主の娘と判明するが、娘は昨日まで生きていた。
わずか1日で白骨になるのか?一輝はみなみと調査を開始する。

柳田邦夫民俗学をベースにしているが、おどろおどろしさは全く無い。
探偵と助手役の二人がかなり軽い存在なのが原因だ。
作者は安物のコメディーにしたかったのだろうか?
トリックも大掛かりな割りにチープ。
何故か、読み終わった後に京極夏彦京極堂シリーズのテイストを感じた。
京極堂作品は博学な知識と、キャラクターが確立されていて面白い。
でも、推理小説のプロットはいずれの作品もかなり陳腐だ。
京極堂シリーズの面白さのエッセンスを抜いてしまうとどうなるか?
そのことを気づかせてくれる作品だった。