陽気なギャングの日常と襲撃

作者:伊坂幸太郎祥伝社ノベルス
陽気なギャングが地球を回す」の続編。
人間嘘発見器の公務員と、演説の達人の喫茶店のマスター。
動物好きの天才的なスリと、性格無比の体内時計を持つ女性ドライバー。
前作に続く、4人組の銀行強盗の軽妙洒脱な活躍を描いている。
今回は4人が誘拐事件に巻き込まれるのだが、その話の運び方が上手い。
予言をする案山子のデビュー作「オーデュポンの祈り」は非常に新鮮だった。
自分は今でも、2作目の「ラッシュライフ」は今でも一番の傑作だと思っている。
その後の新作は読み続けてきたが、イマイチぱっとしない。
台詞が良いのだが、ともすれば少し過剰な感じがする。そこが少し嫌なのだ。
決め付けの台詞が突拍子もなく、空回りして、近作は面白くなかった。
だが、このシリーズは面白い。キャラクターが上手くできているからだ。
設定が上手くいけば、台詞がはまり、あちこちに飛ぶシーンもぴたりとおさまる。
鯨とか蝉とか想像しにくいキャラクターは止めて、こっちの作品を書いて欲しいと思う。