無痛

作者:久坂部羊幻冬舎
神戸で一家四人がハンマーで頭を叩き割られる殺人事件が発生した。
現場には大きな靴跡と小さな帽子が残されていたが、捜査は難航する。
医師の為頼は、人を見るだけで病気の兆候を見てとる天才的な才能があった。
加えて彼は、凶暴な犯罪者を見抜く力もあった。
南京町で通り魔から、障害児童のカウンセラーの菜見子を救う。
一方、菜見子の働く施設にいるサトミは一家四人を殺害したのは自分だと告白。
為頼と同じような能力を持つ白神は、手広く病院を経営しているが、
痛みを全く感じない患者のイバラに、異常なほどの厚遇を与えていた。


この作家は医学をテーマにした作品を発表しているが、3作とも抜群に面白い。
特にこの作品は前作に比べると、バラエティーに富んでいる。
刑法39条に係わる精神異常者の犯罪の実例や、様々な病状。
人物造詣もいい。プリンに焼酎をかけるストーカー。
怒りで体型が変形するコーンヘッド。放送禁止用語も違和感はない。
生きたまま解剖するシーンなどはホラーの要素もある。
これはメッチャ面白い作品だな。