セカンド・サイト

作者:中野順一|文春文庫
第20回サントリーミステリー大賞受賞作。新宿のキャバクラが舞台。
店のナンバーワン・キャストのエリカから相談を受けた、ボーイのタクトが主人公。
彼女に付きまとうストーカーを排除してほしいとの依頼で調査を始める。
一方で、タクトには新人キャストの花梨のことが気になって仕方がなかった。
ストーカーをつきとめ、制裁を加えたが、依頼主のエリカは何者かに殺害される。
警察に疑われるが、容疑を晴らしたタクトは、花梨の不思議な能力に気づく。
目の前の人の未来が見える彼女は、タクトにある忠告を与える。
エリカの死を独自に調査するタクトは、「夢丸」というドラッグの存在を知る。
中国マフィアが流通を仕切っていることを突き止め、その場所に乗り込むタクト。
だが、そこは花梨から「そこに近づくと死ぬ」という名前の店だった。
何とか脱出したタクトだが、花梨が誰かに連れ去られる。
あまり期待をしていなかったが、文章は上手く、引き込まれるように読んだ。
確かにミステリーとしては陳腐な内容だったし、犯人の意外性は精彩を欠いている。
でもこれは、歌舞伎町の若者達を描いた青春ファンタジー小説だと自分は思う。
表紙が陳腐なイラストなのが残念だし、タイトルがイマイチ。
こうやって、埋もれている名作ってたくさんあるのだろうな。

セカンド・サイト (文春文庫)

セカンド・サイト (文春文庫)