太平洋の薔薇(上・下)

作者:笹本稜平|光文社文庫
太平洋の荒海を舞台にした冒険小説で、大藪晴彦賞受賞作。
上下巻で800ページを超えるが、一気に読んだ。
伝説の名船長の柚木は、最後の航海の途中、海賊に襲撃され、船を乗っ取られる。
海上保安庁に勤める柚木の娘は、そのことを察知して、船を追う。
海賊はテロリストで、ある目的を持ち、柚木に航行を強行させる。
一方、医学界を追われた藤井は豪華客船の船医として働き、富豪と懇意になる。
ロシアでは存在を封印された生物兵器が、何者かに盗み出される。
細菌兵器を探す元KGBの中尉。オスマントルコに弾圧されたアルメニアの歴史。
アルメニアのテロリストを追うアメリカの大統領補佐官
世界各地を舞台にしているが、嵐の海を進む柚木とクルー達の団結が主題。
やがて、積み込まれた細菌兵器に倒れ始めるクルー達。
柚木たちを救おうとする各国の船。ベタな小説だけど、泣ける。
昔読んだ名作「女王陛下のユリシーズ号」を彷彿させた。
長さは感じないし、手放しで面白かった。

太平洋の薔薇 (上) (光文社文庫)

太平洋の薔薇 (上) (光文社文庫)