日曜日たち

作者:吉田修一講談社文庫
東京で別々の生活を送る若者たちを描いた、5つの短編連作集。
仕事を転々とし、女性もころころと取り替える自堕落な男。
仲間3人と行った大阪旅行に出かけた夜のことを悔やんでいる女。
九州から知り合いの結婚式のため、上京した父に戸惑う男。
女性に持てるのだが、自分がないために流されるままに生きている男。
恋人の暴力から逃げ出したくても、だれにも相談できない女。
5人の男女には接点も何も無いが、5人とも家出した幼い兄弟を目撃する。
それぞれの話の中で、それが影響をあたえるわけでもないが、最後に結びつく。
淡々とした小説だが、日常の中で、微かに見出せる狂気と思える性衝動はいい。
これが、この人の小説の本質のような気がする。理性が簡単に吹っ飛ぶリビドー。
この小説に出てくるような人は東京に何万人もいるのだろうな。
芥川賞の「パークライフ」もいいけど、自分は「パレード」が気に入っている。
これもまあまあ面白かった。

日曜日たち (講談社文庫)

日曜日たち (講談社文庫)