ロマンティスト狂い咲き

作者:小川勝己早川書房
売れない作家の望月は、コンビニでバイトをして糊口を凌いでいる。
妻からは馬鹿にされ、喫茶店の憧れの店員を眺めているだけで赤面し、
自宅近くの工事現場の騒音には文句の言えない小心者で、妄想癖もある。
ただ、望月は若いころ喧嘩に明け暮れた日々も送っており、ふとしたことで爆発する。
少し前の作家のパーティーでは、大御所作家を闇討ちし、半殺しにしている。
そんな望月を知る、美人編集者から夫の殺害を依頼される。
妻との仲は冷え切っており、美人編集者と関係を持った望月は夫殺しに同意する。
望月と彼女は欲望の赴くままに行動し、破滅へと向かう。
この作家は、癖のある人物やほとんど壊れている人間を書くのが上手い。
犯罪を犯す寸前の主人公の緊張感など、かなり伝わってくるものがある。
バッドエンドの嫌いな人にはあわないだろうが、自分はお気に入りの作家の一人。