帰らざる日々

作者:小暮俊作|幻冬舎
幻冬舎アウトロー大賞受賞作とオビに書かれていたので、期待して読んだ。
道上謙介は敵対するヤクザを射殺し、9年の懲役を勤め、かたぎに戻っていた。
組長の墓参りに訪れると、以前の恋人の麗子に出会う。何か思いつめている雰囲気だった。
その後、かつて所属していた組を乗っ取った畑中が何者かに襲撃される。
襲ったのは麗子だったが、失敗し、畑中に監禁され、陵辱の限りを尽くされる。
シャブを打たれ、浣腸され、犬に犯され、やりすぎかと思うくらいの描写だ。
単身、救いに向かう謙介。その動きを察知した昔の弟分の阿川は先手を打とうとする。
阿川の存在と、麗子を陵辱する牛島と室井の残忍さがアクセントになっている。
敵役の畑中の幼少時の虐待されたエピソードも面白い。
西伊豆での激しい銃撃戦の末、訪れる結末は、昔のマンガ「愛と誠」を彷彿させる。
「プチ新堂冬樹」という印象を持ったが、デビュー作でこれなら、期待できる。