トワイライト

作者:重松清|文春文庫
小学校の卒業記念で埋めたタイムカプセルを26年ぶりに掘り起こすところから話は始まる。
久々に集まった同級生達は40歳手前で、かつての小学校は廃校になっていた。
彼らが暮らした「ニュータウン」も空き部屋が目立ち、活気がなくなっていた。
卒業前に殺された担任の先生の手紙には「あなたたちは今、幸せですか」と書かれていた。
小学生のころ、明るい未来を信じていたのに、現状を苦く噛み締める同級生達。
空き部屋の団地で2次会を行った、リストラや夫婦不和に悩む男女4人の物語。
久々の再会から、1週間足らずのストーリーだが、中身は濃い。
ドラえもんになぞらえたキャラクターが中年になって、悩み、苦しんでいる。
ジャイアンはしずかちゃんと結婚したが、離婚寸前。
のび太はリストラにおびえ、スネ夫は肝臓の病気で死にかけている。
夢がなくなり、満足していない現状にしがみつこうとする姿は格好悪い。
登場人物の喪失感にもがく姿が面白かった。共感できる歳になったのだな。