死してなお君を

作者:赤井三尋|講談社
昭和32年売春防止法が施行されようとする時期の物語。
検事を辞めた敷島は、海運会社を経営する北江から娘の捜索を依頼される。
相棒となった榊原と東京の赤線街を捜索していると夕子という娼婦に出会う。
激しく惹かれあうようになった二人だが、政治家の売春汚職に巻き込まれる。
夕子はヤクザの事務所に監禁され、敷島と榊原は救出に向かう。
一方、読売新聞の記者の立松は、敷島から受け取ったリストを元に、取材を進め、
売春汚職の記事を書くが、検察に逮捕される。
ヤクザ4人が射殺された事件を追う南警部は、苦難の捜査の中、敷島に行き着く。
結核に冒された敷島は、さらに過激な行動を起こそうとする。
元検事のドロップアウトな生き様、新聞社対検察、警察の捜査、検察の権力闘争。
正義感にあふれる人たちが一杯で、「男の友情」も暑苦しくはない。
実在の政治家、事件を絡め、非常にスケールの大きい、魅力的な小説だった。
最近出版された本だが、話題にもなっていないのは不思議なくらいだ。