グッドラックららばい

作者:平安寿子講談社文庫
父、母、姉、妹の4人家族の20年を描いた小説だが、重さはない。
姉の高校の卒業式の日に、母が家出するところから話は始まる。
父は信用金庫に勤め、貯蓄と倹約だけが趣味で、内外で「文鎮」と呼ばれている。
自分の妻の家出にも狼狽した様子もなく、「いつか戻ってくる」と悠然。
姉も淡々としていて、手近な男とセックスをする日々を送る。
妹は「捨てられた」というショックで、上昇志向を実現しようとする。
一方、母は旅芸人の一座と行動を共にして、スリリングな日々を過ごしていた。
4人の好き勝手な行動に、口を出す人たちも登場して、面白い。
20年の中で波乱万丈の生活を送る、母と妹の話が中心だが、変わらない父と姉の存在がいい。
淡々とした内容で、文庫本で500ページを超えるが、長さは感じなかった。
共感できる人物は家族の4人の中にはいないが、不思議な魅力があった小説。
竜巻が発生して、家族の家が半壊し、関係者が集結する所は予想もしなかった。