コールドゲーム

作者:荻原浩新潮文庫
コミカルな作風の多い作者だが、この作品は今までのイメージを覆す作品。
野球部を引退した高校生の光也は、幼なじみの不良の亮太から呼び出される。
中2時代のクラスメートが次々に襲われているという。
亮太は、犯人はその当時イジメられっ子だった「トロ吉」だと断定する。
野球を引退して、何もすることが見つけられない光也は亮太と「トロ吉」を探し始める。
被害者は増え、ついに死者まで出るが、「トロ吉」は見つからない。
同窓会を企画して、注意を呼びかけると、被害者の順番が浮かび上がった。
会話のテンポはいつもどおりだが、イジメというテーマを取り上げているので暗さは拭えない。
残酷な描写もあり、イジメ漫画の傑作、井上三太の「隣人13号」を彷彿させた。
結末はほろ苦いが、面白かった。この人はこんな作品も書くのだな。

コールドゲーム (新潮文庫)

コールドゲーム (新潮文庫)