鏡の中は日曜日

作者:殊能将之講談社文庫
ハサミ男」「黒い仏」もそうだが、この人は幻惑させるミステリーを書く。
何らかの障害を持った人の視点で描かれる第1章だが、読みやすい。
その後、現在と過去が交差しながらストーリーが進む。
異形の館で起きた殺人事件を名探偵が解決に導く過去。
その事件を再調査する現在の主人公石動戯作は、過去の関係者を訪ね歩く。
名探偵を気取ろうとして、さりげなくスベるギャグは良い。
その場の謎を解きつつ、本当の主題は現在と過去の歪みを驚かせるところにある。
同じようなテイストの短編が2編同時収録されている。
騙されたとは思わず、素直に面白く読んだ。ただこの手法を続けられると...

鏡の中は日曜日 (講談社文庫)

鏡の中は日曜日 (講談社文庫)