時の密室

作者:芦辺拓講談社文庫
大阪を舞台にしたミステリー小説。「時の誘拐」の続編。
サラ金の経営者が殺され、容疑者となった男の弁護を引き受ける主人公の森江。
容疑を晴らしたものの、直後に被害者のかつての仲間が殺される事件が発生する。
過去に起きた不可思議な死体消失事件に謎を解く鍵があった。
明治初期、川口の外国人居留地で、オランダ人技師の体験した死体消失事件。
大阪万博のころ、安治川川底トンネルで発生した死体消失事件。
だまし絵のエッシャーの日本との関わり、明治時代の万博のテロ計画。
水上バスアクアライナーを利用した身代金奪取計画。
前作同様、抜群に面白い。埋もれた歴史を掘り起こす着眼点がいい。
川口、安治川がわかる大阪人が読めば、たまらなく面白いはず。
登場人物がこてこての大阪弁でないのは、幅広い読者にアピールすると思う。
ただ一つ残念なのは、犯人の設定かな。

時の密室 (講談社文庫)

時の密室 (講談社文庫)