やくざもの

作者:小川竜生|幻冬舎文庫
幼なじみが死亡した便りを受け取った、神村は故郷の和歌山に向かう。
彼にとってこの地は、思い出したくない場所だった。
中学時代の悲惨な話がメインで、姉の病死、弟の自殺、本人へのイジメなど、
家族と夜逃げして、流れ着いた土地でのことが描かれる。
やがて両親は神村自身を憎み始め、荒んだ神村は傷害事件で、少年院に送られる。
豚小屋に住む朝鮮人や、盲人の母をもつ貧乏人の同級生が数少ない友人。
彼らとの交流で、さらに犯罪を犯す神村は罪悪感も希薄になる。
少年時代の思い出は、ヤクザに復讐をするところで終わる。
冒頭、時間の記述が少し混乱させる部分があり、いきなり読む気がなくなったが、
読み始めるとあまり気にならなくなった。ただ、最後まで気の滅入るような内容。
自分は嫌いではないが、主人公が立ち直ったきっかけがわからないのは不満。