切断

作者:黒川博行創元推理文庫
入院中のヤクザが惨殺され、耳を切断、その耳穴に誰かの指が差されていた。
その後、バッタ屋の経営者が絞殺され、ヤクザの耳が口に押し込まれていた。
死体からは舌が切りとられていた。警察は連続殺人事件として捜査を開始。
次の標的となったヤクザの組長の襲撃は失敗し、犯人像が見えてくる。
この作家は大阪を舞台にした警察小説をたくさん書いている。
刑事たちの大阪弁丸出しの漫才のような軽快なやり取りはいつも面白く、
犯罪を扱っていても、何となく明るいイメージだ。
だが、本作は犯人が猟奇的でハードボイルドな人物なので、少し毛色が違う。
過去と現在がシンクロしながら話が進み、徐々に犯人に迫る。
追う刑事たちはこの人得意のキャラクターだが、脇役に過ぎない。
この作品も面白く、関西限定にはもったいない作家だと思う。

切断 (創元推理文庫)

切断 (創元推理文庫)