夏、19歳の肖像

作者:島田荘司|文春文庫
バイクの事故で入院した19歳の主人公。病室ではすることもない。
外を眺めていると、近くの家に美しい女性が住んでいることを発見する。
彼女を観察するのが日課になるが、殺人を犯してしまうところを目撃する。
退院後、彼女に近づきたいため、また真偽を確かめるため、尾行を開始。
彼女のバイト先に雇われ、彼女に接近するが、不審な横槍が入る。
何とか彼女と親しくなるが、彼女への謎は深まるばかり。
今から20年以上前に書かれた作品で、主人公は純情な男だが、
今ならストーカーと呼ばれるだろう。最後に明かされる彼女の謎もチープ。
とはいえ、2時間ほどで読める作品で、文章は良い。
若さの持つあやうさ、後から振り返るほろ苦さ。
恋を手に入れた瞬間に感じる別れの予感。
誰もが過去に経験したであろうことが上手く書かれていると思う。

新装版 夏、19歳の肖像 (文春文庫)

新装版 夏、19歳の肖像 (文春文庫)