死小説

作者:福澤徹三幻冬舎
ホラー短編集。この人は独特の雰囲気を描き出す。
癌と宣告された主人公が、死者になり家族に復讐する「憎悪の転生」
不倫カップルがたどり着いた不気味な雰囲気の宿を舞台にした「屍の宿」
福祉用具をレンタルする店長が見た怪異「黒い子供」
年上の従姉妹とお医者さんごっこをした結果に現れた「夜伽」
職場でも、家庭でも虐げられる中年サラリーマンが見た「降神
いずれも淡々とした恐怖、あるいはもうすでにあちら側にいっているという、
どんでん返しが面白い。
この作者は新堂冬樹と同様、追い詰められる中年を描くのが上手い。
こちらはどちらかといえば内面が壊れていくの描くのが得意なようだ。
もう無くなりそうな、地方の萎びた商店街の描写もいい。

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