ひなた弁当

作者:山本甲士|中公文庫
不動産の会社に勤める良郎は、50歳を目前にリストラにあう。
妻や娘にも愛想をつかされ、家にも居場所はない。
退職後に、自分が標的になったことを知るが、復讐する気力もない。
図書館で時間をつぶしていると、どんぐりの調理法に興味をひかれた。
公園で拾ったどんぐりを、自宅で調理し、食べることができることを確認。
自宅近くで、食べられる野草を収集する。
野菜を確保したあとは、近所の川で、食べることのできる魚の情報を仕入れる。
ローンの払い終わった家があるので、食べるものさえ確保できれば、生活に心配はない。
前向きな姿勢を取り戻した良郎は、身近に存在する食材で、弁当屋を開業する。


逆境に打ちのめされた中年男性が、身近にある些細なきっかけで、自信を取り戻す。
ありきたりに思えるが、こんなストーリーを書く作家は少ない。
勇気を与えるとかそんな雰囲気ではないが、この作品も面白かった。


ひなた弁当 (2011-09-22T00:00:00.000)

ひなた弁当 (2011-09-22T00:00:00.000)