蒼ざめた眠り

作者:香納諒一小学館文庫
文庫本裏書
死にかけた海辺の町にもちあがった空港建設計画。
町は真っ二つに割れていた。
廃墟の撮影に訪れたカメラマンの辰巳翔一は、反対派の女性ジャーナリストの絞殺死体を発見した。
殺害女性の元夫である地元紙記者から、探偵だった経歴を買われ、辰巳は事件の捜査に着手する。
簡単な事件に見えたが、自体は二転三転。
やがて辰巳自身想像すらできなかった事件の闇に絡めとられていく。
行きつく先は、絶望か?希望か?
疲弊する共同体、己が欲望に溺れる人間たち。
この国の断片を活写したハードボイルド・ミステリ巨編!
各紙誌絶賛の『虚国』を改題し、待望の文庫化!


事件のきっかけとなったホテルの火事。
行方不明になったフィクサーと、その後を継いだ妻と息子。
空港誘致反対派の重鎮である陶芸家と、記憶喪失になった息子。
血縁による謎めいた展開と、地方都市の閉塞感。
謎ときの部分は少ないが、横溝正史が今の時代に書いたかのようなミステリ。
展開は面白いし、ハードボイルドで、読みごたえはあった。
ただ、この作者にしては傑作とまではいかない。


蒼ざめた眠り (小学館文庫)

蒼ざめた眠り (小学館文庫)