鉄の骨

作者:池井戸潤講談社文庫
吉川英治文学新人賞受賞作。
平太は東京の大学を出て、中堅ゼネコンで働いている。
学生時代から付き合い始めた彼女の萌は大手都銀に勤めていて、話題が合わなくなっている。
平太は現場で働いていたが、業務課への異動となり、いきなり談合の現場に投入される。
談合に疑問を持つ平太だが、業務課のメンバーの凄腕に驚かされる。
平太は大型の地下鉄工事をとるため、談合のとりまとめ役への接近を常務から命じられる。
談合のとりまとめ役は、平太の同郷の三橋という大手ゼネコンの専務だった。
一方、萌の前には先輩行員の園田が接近してきて、平太との付き合いにも亀裂が入り始める。
また、平太の母が病に倒れ、平太は公私ともども打ちのめされてしまう。
ただ、談合の悪習を破ろうとする業務課のメンバーと共に、画期的な技術力を導入する。


談合は悪だけど、多くの従業員の生活を守るために仕方が無い。
その考えに揺れ動く、平太とその仲間の行動は面白い。
平凡だが情熱がある平太と、冷めたようで能力の高い先輩、上司。
不可能のように思われた談合を打ち破るクライマックスは痛快だ。
それに加えて、平太や萌を取り巻く人たちの人物造詣も上手い。


鉄の骨 (講談社文庫)

鉄の骨 (講談社文庫)