哄う合戦屋

作者:北沢秋|双葉文庫
武田信玄上杉謙信が台頭してくる少し前の中信濃が舞台の歴史小説
4千石ほどの勢力の遠藤吉弘の元に、信濃で戦上手として名前の売れた浪人が訪れる。
その男、石堂一徹は従者を一人だけ連れ、俸禄はいらないという。
すぐさま、近隣の対立勢力を謀で滅ぼし、遠藤吉弘は急激に勢力を拡大する。
吉弘は人を使うのが上手く、内政に能力を発揮する名君だった。
一徹は噂にたがわず、戦上手で、味方の損害を最小限にとどめ、相手を倒していく。
わずか2年弱で2万石の勢力となった遠藤家だが、家臣団に亀裂が起こり始める。
吉弘も2万石で満足しており、さらに勢力を拡大することには消極的になっていた。
一徹は信濃の国を早く奪取するための献策をするが、受け入れられなくなっていく。
一徹は吉弘の娘の若菜が自分に惚れていることに気づき、若菜のために遠藤家を守ろうとする。
やがて、武田信玄信濃に攻め入ってくる。吉弘は小笠原家と手を組むことになった。
一徹は遠藤家の滅びを予感し、計略を胸に合戦に挑む。


のぼうの城」や「忍びの国」の和田竜など、最近、新人作家による歴史小説が面白い。
この作品も読みごたえがあり、面白かった。
ただ、悪い意味ではないけど、これらの作品には何となく軽薄な印象が残る。
それぞれ、登場人物に味はあるのだけど、奥行きが感じられないのかな。
ストーリーは面白い。漫画に似ている。
でも、白土三平の漫画のような深みはない。


哄う合戦屋 (双葉文庫)

哄う合戦屋 (双葉文庫)