熱帯夜

作者:曽根圭介角川ホラー文庫
3つの作品が収められた中編集。いずれも面白い。
「熱帯夜」は訪れた友人の別荘で、凶悪なヤクザに監禁される話。
友人の藤堂は主人公と妻を残し、金策に出かけるが、タイムリミットを設定される。
同時に起きる、猟奇殺人と轢き逃げ事故。
時間をうまく利用したトリックと、下品な描写が面白い。
「あげくの果て」は日本の高齢化社会をシニカルに描いた問題作。
老人と若者がテロを起こす話で、近未来に実際にありそうで、面白い。
「最後の言い訳」はゾンビと一般市民の共存を描いた作品。
前の二つの作品が強烈なので、少し面白さは落ちるが、悪くない。
「鼻」や「沈底魚」はそんなに評価できないが、この作品を読み、認識を改めた。
この作家の今後の作品に期待したい。