沈底魚

作者:曽根圭介講談社文庫
公安警察を主題にした江戸川乱歩賞受賞作。
次期総理候補の国会議員が中国のスパイではないかという情報が流れる。
警視庁公安部外事課の刑事たちはそれぞれ独自の調査を開始する。
不破は、ターゲットの国会議員の秘書に同級生の女性を見つけ、接近する。
外事課の刑事たちはそれぞれが独自に動き、それぞれがスパイを泳がせている。
そんな外事課に異様な容貌のキャリア官僚の女性凸井が指揮官として送り込まれてくる。
凸井は疎まれつつ、不破と共にスパイの情報を流した真相に迫る。
仲間同士でも、リンチを辞さない外事課の非情さと、凸井の異様な存在感が印象的。
何度も危機に陥る主人公の不破の周辺にはスリルがあり、乱歩賞に相応しいサスペンス。
不破と相棒の若林の人物描写がぼやけていたので、そんなに面白いとは思えなかった。

沈底魚 (講談社文庫)

沈底魚 (講談社文庫)