閃光‐FLASH

作者:永瀬隼介|角川文庫
昭和の迷宮事件『3億円事件』をベースにしたミステリー。
玉川上水でラーメン店主の扼殺体が発見される。
定年前の刑事滝口は、被害者の身元を知り、驚愕する。
かつて新人の滝口は3億円事件の捜査を担当していた。
警察官の息子とその取り巻きの不良グループに疑いを持っていた。
ところが警官の息子が自殺したことにより、このグループへの捜査は中心になる。
ラーメン店主はその不良グループの一員だった。
滝口は再び捜査への情熱を持ち、所轄の刑事の片桐と捜査を開始する。
だが、さらに不良グループの1人が殺害される。
滝口は過去の3億円事件にさかのぼろうとするが、捜査本部から妨害される。
一方、ラーメン店主が殺害されるまでは一度も集まらなかった不良グループは、事件をきっかけに再開する。
ヤクザ、実業家、失業者など立場は様々に変わっていた。
グループは仲間が殺されるにつれ、疑心暗鬼に陥る。
冒頭に出てくるホームレスの老人の行動がさらに謎を高めている。
3億円事件の犯人は不良グループだったという推理はすでにいくつかのミステリーで取り上げられている。
それでも、この小説はよくできており、結末まで一気に読めた。
少し後味が悪い結末だが、この作品にはマッチしていると思った。

閃光 (角川文庫)

閃光 (角川文庫)